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★さよなら渓谷

さよなら渓谷06



MovieWalkerより抜粋
2013年6月22日(土)公開

【作品情報】
芥川賞作家・吉田修一の同名長編小説を、『まほろ駅前多田便利軒』の大森立嗣監督が映画化した人間ドラマ。とある団地で起きた幼児殺害事件をきっかけに浮かび上がる、容疑者の隣人夫婦の意外な関係を官能的に描く。夫婦を演じるのは、『キャタピラー』の大西信満と、本作で第37回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した真木よう子。

【ストーリー】
都会の喧騒から離れた緑が覆う渓谷で、幼児が殺害され実母が犯人として逮捕されるショッキングな事件が起こる。母親の逮捕により事件は解決したかに見えたが、一件の通報により、この渓谷に住む尾崎俊介(大西信満)がこの母親と不倫関係にあったことがわかり、俊介に共犯の疑いがかけられる。通報したのは俊介の妻・かなこ(真木よう子)であった。取材に当たっていた週刊誌記者の渡辺(大森南朋)は、かなこが俊介を告発したこと、二人が必要最低限の物しか持たず、まるで何かから隠れているかのような生活をしていることにひっかかりを感じる。調べていくうちに、渡辺は二人を結びつけている15年前の罪に行きつく……。

さよなら渓谷15



【作品データ】
製作年 2013年
製作国 日本
配給 ファントム・フィルム
上映時間 116分

【スタッフ】
監督 大森立嗣
脚本 高田亮 、 大森立嗣
原作 吉田修一
製作 細野義朗 、 重村博文 、 小西啓介
主題歌 「幸先坂」 唄:真木よう子
主題歌作詞・作曲 椎名林檎

【キャスト】
かなこ 真木よう子
尾崎俊介:  大西信満
渡辺:  大森南朋
鈴木杏
井浦新
新井浩文
鶴田真由



さよなら渓谷10


【マイレビュー】
軽はずみな批評が出来ない作品だった。のほほんとした僕にとってはあまりにも重いテーマである。
事件に絡む罪と罰、それに贖罪と愛である。

実際の事件に絡めた内容になっている。
その事件と言うのは殆どの事件と同様にすでに社会的にも風化されつつあるのだが、絶対に二度とあってはならない重大事件でもある。

「秋田児童連続殺害事件」それに「帝京大ラグビー部集団レイプ事件」である。


さよなら渓谷14


それら二つの事件

前者の事件は、2006年に起きた。2ヶ月の間に河原で二人の子供が遺体で発見されたことから事件として大きく取り上げられた。最初に遺体で発見された女の子は事故死と断定されていたが、母親がマスコミに捜査協力を要請する姿を数多くのTV局のカメラが映していた。その後疑われていることを知った母親は逆切れ状態になり、マスコミの前で怒鳴り散らしていた。すごく違和感のある映像だったのを覚えている。結局犯人として逮捕されることになる。後日マスコミが入手した中学時代の卒業文集から当時相当ないじめに遭っていたことも明らかになった。

後者は1997年11月に起きたカラオケボックス内での集団レイプ容疑で帝京大ラグビー部の学生、独協大学生らを含め計8人が翌々月の1998年1月に逮捕された事件である。加害者は実名写真付きで連日大きく報道された。
示談をもって不起訴処分となっているので公判には至っていない。
教育機関である大学の面子もあり加害学生の家族らと結託して早々に被害者・被害者家族と示談交渉が行なわれた結果、示談成立し、拘置期間満了をもって加害学生ら全員が釈放される。どうにも後味の悪い結末だった。


さよなら渓谷04

これらの事件は世間に大きな衝撃を与えただけでなく、マスコミによる実名報道、記者の取材方法、捜査への無断介入、近隣に対する迷惑行為と配慮の無さという面で大きな議論も起きた。いわゆる「マスコミスクラム」である。
一週間以上ぶっ続けで朝のTVワイドショーを賑わすだけのネタとなったことから、無責任なコメンテーターの煽動的で低俗な邪推や信憑性の無い下ネタ話が一人歩きしたり、キーワード化されるような不謹慎な言葉をマスコミ全体でわざと生み出したりした。

視聴者も興味本位でチャンネルを選択する。
TV局は視聴傾向を踏まえ事件を構成する要素をさらに増幅してゆく。連日のようにレポーターを送り込み容疑者の中学の同級生にまで取材が殺到する。事件で一番の被害者や被害者家族の精神的ダメージへの配慮などまったくされずに、ただ野次馬向けのショーを展開させてゆく。
そういう低俗な番組には「スポンサーに罰を与える」のが一番効果的だと思うがどうだろう。罪は人間だけじゃなくシステムにも存在するからである。



さよなら渓谷03


この映画を観て 『贖罪』とは何か、を僕なりに考えてみた。

贖罪は当事者同士の間だけに存在するものだと思う。
裁判の結果で言い渡された刑罰の事ではない。社会的制裁でも、ましてや示談金の額の大小でもない。
被害者に向けて一生をかけて自らにすすんで科すべき償いの行動だと思う。どう行動するかはそれぞれだ。
被害者の肉体的・精神的苦痛やその後の人生を理解し心から罪を反省することであり、ただ行為を悔やむことではないし、忘れたいと願うことでもない。被害者だけに向けた償いを継続することにあると思う。
また贖罪に完了はない。被害者が「 もう十分です 許します 」と言ったときが、ひとつの区切りではあるが、それでもマイナスがゼロになっただけである。時間は戻せない。だからそれでも終わらない。それが贖罪なのだと僕は思う。


さよなら渓谷05


真木よう子さんはこの「さよなら渓谷」で第37回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得し、この年の他の主演女優賞も総なめにした。また作品賞としてノミネートされた「そして父になる」では最優秀助演女優賞もダブルで受賞している。
ちなみにこの第37回の作品大賞には「舟を編む」が受賞している。
この「さよなら渓谷」は作品賞にもノミネートされていない作品だ。他の部門賞にも無い。
彼女がどれほど素晴らしい女優だったか誰の目にもわかったということだ。

僕もそう思う。
彼女は写真一枚でもほんのちょっとした仕草、表情、佇まいに「叫び」とか「声にならない声」を感じる女優さんだ。


さよなら渓谷07


この映画全体では映画の台本としてけっして長セリフがあるわけじゃない。特に二人の間には。
そしていつも微妙な距離感が漂う。
顔と顔のちょうど中間点に二人の想いが渦巻いていた。橋の上から渓谷を眺めているだけの映像のなかにもかすかにやさしく感じる声がある。

現実的にそんな二人が一緒に暮らすことなど無い。
たしかに二人の間に愛はあったと思う。
最後は10年以上経っても残っている憎しみと償いのせめぎあいだった。
それでもそれによって互いが救われたように思う。

テーマとしてすこし重いかもしれないが、観てほしい。
日本人なら日本映画の言葉少なな『機微』というものを感じることは間違いない。


さよなら渓谷02

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Author:力蔵

こんにちは、『秀逸シネマ紹介中!』管理人の大の映画ファン「力蔵」と申します どうぞよろしくおねがいします 
辛口批評を多く含んだ映画レビューを書かせていただいてます 
甚だ僭越なのですが僕なりの評価点がわかるように各映画タイトルの頭に6段階の記号を付けています 記号の意味は以下の通りです

★★★ 超とびきり秀逸シネマ!
★★ お勧め秀逸シネマ
★ 秀逸シネマ
● そこそこシネマ
▲ いまいちシネマ
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僕は主に洋画が好きでアクション・サスペンス・ミステリー・パニック・SF・スパイ・政治・戦争モノなどで「ストーリー性」重視な作品をよく観ます あまり好みで無いジャンルはホラーやオカルトやコミカルドタバタ系です ゾンビ・バンパイヤなどの怪物系や幻想・魔法系それにアニメもあまり観ません ただ食わず嫌いもありますので僕が観ないジャンルにお勧めの映画があればぜひ教えて欲しいと思います

記事には気に入ったカットシーンを何枚か貼り付けています ネタバレは極力避けるように心がけていますが作品情報については「MovieWalker」さんから大まかに引用させていただいています 是非観て欲しい肝心なお楽しみの部分は皆さまにしっかり残しておきます

こんな拙い僕の映画評論が皆様の参考になれば幸いです



好きな男優:
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好きな女優:
シアーシャ・ローナン
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